有機EL―寿命の基準
先日の有機ELテレビ発表の際に「有機ELの寿命が5万時間ぐらいになったらいいな」という記事を書いたが、いきなりその目標を超える可能性のあるニュースが飛び込んできた。
セイコーエプソン/高度な画像表現“究極の黒”&長寿命の有機ELシステムを開発
この勢いだと有機ELの寿命なんて気にしなくていいようになるのはそう遠くないだろう。
なんて、こういうパッと見の情報に踊らされてはたまらない!よくよく発表の内容を見てみるとこの有機ELシステム、『輝度200cd/m2』とある。
そもそも有機ELの寿命というと初期輝度が半減するまでの時間、所謂『半減期』のことを指す。そしてその時間は初期輝度のχ乗に反比例する*1。簡単に言うと初期輝度が高くなれば高くなるほど加速的に有機ELディスプレイの寿命は短くなる方向にあるわけだ。SONYの発表した有機ELテレビと今回のセイコーエプソンの有機ELシステムの輝度はそれぞれ600cd/m2と200cd/m2なので単純には比較できない*2だろう。そもそも400cd/m2の差がどの程度なのかというのも実際に双方を比較してみないといけないし、そうしないことには「600cd/m2は綺麗だから3万時間でもいいや。」と納得できるのか、はたまた「200cd/m2でも十分だし5万時間以上使いたいや。」となるかなんてわかるはずもない。もしかしたら「まだまだ液晶でいいじゃん」なんて言う事になるかもしれない。
そういう事なので、3万時間ならこれぐらいという指標も兼ねてまずはSONYの有機ELテレビ―XEL-1を早く店頭に置いてもらいたい。本格的に売れ出すのは大型のモデルが出てくるであろう2009年以降*3になると思うが、もしかするとこれから(例えば今年末)地デジ対応のテレビを買う予定の人*4にそれまで待たせるだけのインパクトを与えるかもしれない。